網膜剥離
『網膜剥離』は網膜の中にある網膜色素上皮と神経網膜とが剥がれて「視野欠損」を起こし、失明にまで至る眼病です。網膜は目の中に入ってきた光を受け止める役割があります。これにより、脳に正常な映像が伝達されます。しかし、網膜が剥がれて歪むと正常な映像が作れず、不透明な映像が脳に伝わり続けます。すると脳は見ることをやめようと視力をなくしてしまいます。しかし、急に失明するわけではなく、初期の自覚症状として、小さな虫やゴミが視界を飛び交う「飛蚊症」、光の刺激を過剰に感じてしまう「光視症」、「視野欠損・視力低下」などが現れます。
『網膜剥離』を厳密に分けると「裂孔原性網膜剥離」と「牽引性網膜剥離」、「滲出性網膜剥離」の三つに分類できます。
●「裂孔原性網膜剥離」とは、網膜と硝子体がはがれる”後部硝子体剥離”が起こる時に孔(あな)が開き、それに引き続き『網膜剥離』が起こった状態をさします。孔だけならレーザー治療で治りますが、『網膜剥離』を引き起こしている場合は手術が必要です。早めの処置であれば確実に治療できます。
●「牽引性網膜剥離」は孔が広がるものではなく、硝子体や増殖膜が網膜を引っ張ることで網膜が剥がれた、剥離状態のことをいいます。これは糖尿病などの合併症状としてよく見られ、糖尿病の治療と手術を行います。
●「滲出性網膜剥離」は眼内腫瘍、ぶどう膜炎などにより網膜の下に滲出液がたまって剥離します。眼科的治療と併せて引き金となっている病気の治療も併行して行います。
『網膜剥離』は失明の可能性もある恐ろしい病気ですが、早めに治療を行えば視力回復が見込めます。『飛蚊症』『光視症』『視野欠損』などの症状に心当たりのある場合はすぐに受診しましょう。